さつまいもを切ったときや調理中、手や包丁にベタッとした“ネバネバ”がついたことはありませんか?
実は、このネバネバの正体には、意外と知られていない秘密があるんです。
この記事では、さつまいものネバネバの正体から、対処法・防ぎ方・活かし方までを、やさしく丁寧にご紹介します。
【基本】さつまいもがネバネバする理由とは?
さつまいもを切ると、断面から白っぽい液体がじわ〜っとにじみ出てくることがあります。
この白い液体、実は“ヤラピン”と呼ばれるさつまいも特有の成分なんです。
ヤラピンは主に皮のすぐ下に多く含まれており、特に包丁で切った直後や、時間がたって空気に触れると、粘り気がどんどん強くなっていきます。
この粘着質のある成分が、手や包丁、まな板などにベタベタとくっついてしまう原因になります。
一見すると心配になるような粘りですが、これはさつまいもが持つ天然の成分なので、過度に心配する必要はありません。
品種や保存状態によってヤラピンの量には個体差があり、まったく出ないものもあれば、切った瞬間からたっぷりと出てくるものもあります。
また、熱を加えるとこの粘りはほとんど感じなくなるので、加熱調理では特に問題になることはありません。
【実用】ネバネバが気になるときの落とし方・対処法
手や包丁についたネバネバをすっきり落とすには?
さつまいもを調理していると、手や包丁がベタベタになってしまうこと、ありますよね。
まずは、“ぬるま湯”を使って優しく手を洗い流すのが基本です。
ぬるま湯は、ヤラピンの粘性をゆるめてくれるので、水よりも効果的なんですよ。
それでも粘り気が残っている場合は、少量の食器用洗剤を手にとって、手のひら全体にのばし、泡立てながら指の間や爪のまわりまでしっかりと洗ってください。
それでも落ちにくいと感じたら、重曹を少し加えてこすり洗いするのが◎。
重曹は粘りの除去に優れています。
また、キッチン用のスポンジで包丁を優しくこするのもおすすめ。
刃の部分は気をつけながら、ぬめりがとれるまで洗剤+ぬるま湯で丁寧にすすぎましょう。
保存容器やまな板についたネバつきの対処法
保存容器やまな板などにヤラピンがついてしまった場合も、なるべく乾燥する前に素早く洗い流すのがポイントです。
粘りが固まる前に、ぬるま湯でさっと流してから、中性洗剤を使ってスポンジでこすり洗いしましょう。
特にプラスチック製の容器や木のまな板は、汚れが染み込みやすいので注意が必要です。
どうしても粘りが残ってしまう場合は、クエン酸水やお酢を薄めたものをスプレーして数分おいてから、ふき取ると効果的。
その後、もう一度洗剤で洗えば、しつこいネバつきもすっきり落とせます。
また、布巾やスポンジもヤラピンでぬめりが残りやすいため、使った後はすぐに洗い、乾燥させておくのが衛生的です。
【予防】さつまいものネバネバを防ぐ調理のコツ
アク抜きでネバつきを減らす方法とポイント
さつまいもを切ったあとに出てくる白い液体や変色の原因のひとつが「アク」です。
このアクを取り除くことで、ネバネバの軽減にもつながります。
皮をむいたさつまいもは、切ったらすぐに水にさらすのが基本です。
時間の目安としては、だいたい10〜15分ほど。
このとき、水を2〜3回取り替えてあげると、より多くのアクやヤラピンを流すことができます。
さらに、薄い塩水に漬けておくと、よりしっかりアクが抜けて、煮崩れしにくくなるというメリットも。
炒め物や揚げ物に使うときも、アク抜きしてから調理することで、食感がすっきり仕上がります。
ただし、長時間水にさらしすぎるのもよくないので、15分程度で切り上げましょう。
加熱調理中にネバネバを防ぐひと工夫
加熱調理の方法によっても、ネバネバの感じ方には大きな違いがあります。
例えば、油を使った炒め物や天ぷらのような調理法では、ヤラピンが表面にとどまりにくくなるため、ネバネバが気になりにくくなるんです。
高温で一気に火を通すことで、粘り成分が飛んでしまうのも理由のひとつです。
一方で、煮物やスープなど水分を多く使う料理の場合は、ネバネバが残りやすいことがあります。
そんなときは、あらかじめ水にさらしてアク抜きしたさつまいもを使ったり、表面に軽く湯通しをしてから使うと、粘りが抑えられて扱いやすくなります。
また、加熱する前にさっと電子レンジで下処理をしておくことで、余分な粘りを減らすこともできますよ。
【補足】ネバネバが出やすいさつまいもの特徴とは?
ヤラピンが多いのはどんな状態?品種や切り方の関係
ヤラピンは皮のすぐ下に特に多く存在しており、さつまいもを皮付きのまま加熱した場合、そのまま粘りが出やすくなります。
特にオーブンでじっくり焼く焼き芋や蒸し芋のような調理法では、皮の近くのヤラピンが熱によりじわじわと出てきて、手についたり、調理器具にベタついたりすることも。
また、切り方にも注目してみましょう。
さつまいもを大きめにカットすると、切り口が大きくなるため、空気に触れる面積が広くなります。
その結果、ヤラピンがより多く分泌されて、粘りが強く感じられることがあります。
逆に、小さめにカットしたり、調理直前に切ることで、空気に触れる時間を短くでき、ネバネバの発生をある程度抑えることも可能です。
さらに、品種によってもヤラピンの含有量には差があり、「紅あずま」や「紅はるか」は比較的おとなしい粘り方をするのに対し、「安納芋」など一部のしっとり系品種では、カット直後からしっかりと粘りが出ることがあります。
どんな品種を選ぶか、どう調理するかによって、ネバネバの程度も変わってくるんですね。
収穫時期・鮮度の影響もチェック
収穫したての新鮮なさつまいもは、まだヤラピンの動きもおとなしく、カットしてもそれほど粘りが出ないことが多いです。
しかし、時間がたって水分が程よく抜けてくると、ヤラピンの濃度が高まるのか、切ったときにじゅわっと出てくることがあります。
とくに、秋に収穫されてからしばらく貯蔵されているさつまいもは、甘みが増すのと同時にヤラピンも活発になりやすい傾向があるようです。
【応用】ネバネバを活かしたレシピ&食べ方アイデア
ポタージュ・ペーストなど“とろみ”を活かす料理
さつまいものネバネバ成分は、加熱することでやわらかく変化し、とろみやまろやかさとして料理に生かすことができます。
特にポタージュやスープにする際には、さつまいも自体の甘みと粘りが溶け込んで、自然なとろみが出てとてもなめらかな仕上がりに。
牛乳や豆乳を加えるとさらにクリーミーになり、小さなお子さんや高齢の方でも食べやすくなります。
また、裏ごししてペースト状にすれば、パンに塗ったり、白あんと混ぜて和菓子風にアレンジしたりすることも可能です。
甘じょっぱく味付けして、スイートポテト風のディップや、おやきの中身に使うなど、アレンジは無限大。
ネバネバが苦手だなと感じる方でも、こうした調理法で“なめらかさ”として楽しめるようになりますよ。
ヤラピンを活かす食べ方の工夫(皮ごと焼き芋など)
ヤラピンは皮の近くに多く含まれているため、皮ごと調理することでその成分をしっかりと取り入れることができます。
とくに焼き芋や蒸し芋といったシンプルな調理法は、さつまいもをまるごと味わえる理想的な方法です。
皮のパリッとした香ばしさと、内側のホクホク・しっとり感の組み合わせも楽しく、食べごたえがあります。
また、皮ごとスライスして素揚げにしたり、チップスにするのもおすすめ。
オーブンや魚焼きグリルなど、特別な道具がなくても簡単にできるので、日常的に取り入れやすいですよ。
【豆知識】ヤラピンの名前の由来とおもしろ話
ヤラピンの名前の由来は、なんと地中海沿岸に自生している“ヤラッパ(jalappa)”という植物から来ているといわれています。
このヤラッパという植物の根から取れる樹液は、古くから薬草として重宝されており、特に古代ローマやギリシャの時代には、便秘や消化不良の薬として用いられていた記録も残っているそうです。
その粘り気のある成分と効果が、さつまいものヤラピンに似ていることから、名前が由来したと考えられているんですね。
ちなみに、ヤラッパの仲間には現在でも一部のハーブ療法などで使われている種類もあり、西洋の薬草文化と日本の伝統野菜が思わぬところでつながっているなんて、なんだかロマンがありますよね。
自然が生み出すチカラと知恵の結びつきに、改めて感動してしまいます。
【Q&A】ヤラピンが出にくい品種ってあるの?
→ はい、ヤラピンの量には品種ごとに個性があります。
「紅あずま」や「紅はるか」といったさつまいもは、粘りが出にくく、比較的ホクホクとした仕上がりになりやすいため、ネバネバが苦手な方にもおすすめです。
一方で、「安納芋」や「シルクスイート」などのしっとり系の品種は、カットしたときにネバネバが強く感じられることがよくあります。
ネバネバを避けたい場合は、購入時に品種をチェックするのがポイント。
品種名が記載されていない場合は、店員さんに尋ねてみるのもひとつの方法ですよ。
まとめ|ネバネバの正体を知れば、さつまいもがもっと好きになる
さつまいものネバネバは、実はヤラピンという天然成分。
驚かずに、上手に対処すれば大丈夫。
調理のちょっとした工夫で、もっとさつまいもを美味しく楽しめます。
ぜひ、ネバネバと仲良くなって、毎日の食卓にもっとさつまいもを取り入れてみてくださいね。